• Topnotch

"self-limited disease"の訳語

医薬関係の英文ドキュメントに登場する"self-limited disease"ですが、果たして日本人読者は皆この意味を理解できているでしょうか。医師の先生方をはじめとする医療専門家はともかく、翻訳者がきちんと理解して訳しているかは疑問です。実際、このフレーズは通常、「自己限定性の疾患」「自己限定的疾患」などと訳されますが、おそらくこの日本語を見ただけでは疾患の具体的な特徴を説明することはできないでしょう。


辞書によると、"self-limited disease"は


"Condition that resolves spontaneously with or without specific treatment"


"An illness or condition which will either resolve on its own or which has no long-term harmful effect on a person’s health"


などと定義されており、 要するに「特段の治療なしでも時間の経過とともに自然治癒する疾患」ということができます。


翻訳者がこの定義を理解したうえで上述の「自己限定」云々を用いることはもちろん重要ですが、問題はそれにとどまらないように思われます。というのも、翻訳後のドキュメントを読むのは医療専門家であることもあればそうでないこともあります。しかも、一般人はおろか、医療専門家にとっても、「自己限定」の意味するところが(直訳的過ぎるために)直感的に理解しづらいのではないでしょうか。文脈が許す限りにおいて、「自然治癒疾患」などと訳したほうが実際的かもしれません。

Recent Posts

See All

前置詞の意図的な省略

文書には、一度完成したらそれっきりのものもあれば、何度も改訂される性質のものもあります(後者は英語でevolving documentといいます)。何度も改訂される文書の場合、例えば末尾やフッター等に「●年×月改訂」などと書いてあります。これを訳すのは簡単で、例えば日本語が「2019年5月改訂」となっていれば、 Revised in May 2019 とすればよいだけです。 ただ、こういった状況に

Catheter Abrasion??

先日、新元号が「令和」となることが発表され話題になりましたが、職業柄、そのとき真っ先に思ったのは「アルファベット表記はどうなるのかな」ということでした。とはいえ、何ら迷うことなく"Reiwa"となるであろうことは想像できましたが、多くの日本人は英語の聞き取りや発音においてLとRの区別が得意ではないので、綴りの点で統一して使われるのであればよいのかなと思いました。 さて、最近みかけた綴りの間違いに、

Topnotchが単語数ではなく文字数にこだわる理由

Topnotchでは、英文校正の料金計算を単語数(words)ではなく文字数(characters)をベースに行っています。一般に、英文のボリュームを量るときには、意味的な最小単位である単語の数が用いられることが多いです。実際、医学誌の投稿規程では、タイトルのようなごくサイズの小さいパートを除いて、単語数を基準に最大許容ボリュームが定められていることがほとんどです。 しかしながら、論文の執筆におい