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“now”を過去形の動詞とともに使用する
副詞“now”は、その意味からも通常は現在形の動詞とともに使用されます。
例えば、
The patient is 40 years old now.
Three-dimensional echocardiography is now an accepted modality.
などですね。
このときの“now”は、書き手がこの文を書いた時点という意味において「今」です。
では、
The patient was 40 years old now.
という文は完全な誤りなのでしょうか。
実は、これは必ずしもあり得ない文というわけでななく、文脈によってはあり得る文です。英文では、先述のように書き手が書いているその瞬間をnowと呼称するだけでなく、書き手の心理が過去の特定のある時点に置かれているときに、そのある時点をnowと呼ぶことがあるのです。これは、物語文や伝記でみられる表現であり、過去の出来事に対して判で押したように“at that time”などと言及するより生き生きとした表現です。
一例として、ある生徒の受験成功譚を記した本があったとします。仮にその生徒の名前をJohnとしましょう。Johnはずっと遊んでばかりいましたが、あるとき一念発起して毎日猛勉強をするようになりました。これが成功の第一歩となり、志望大学に合格でき、そこで運命的な教授との出会いも経験していきます。
このストーリーにおいて、ターニングポイントとなった一念発起の場面は、
John was now focused on studying hard.
と表すことができます。つまり、書き手は客観的に過去のある時点の出来事として描写しているというよりも、あたかも現場にタイムスリップしているかのようです。
「Johnはもう昨日のJohndではなかった。今や彼はただひたすら勉強することに集中しているのだ」
という感じでしょうか。このような書き方は、客観性が重要となる論文の執筆においてはあまり一般的ではありませんが、表現力の豊かさを示すものでもあり、慣れておくに越したことはありません。