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lessとfewerの違いを弁える

今回の記事のタイトルにある「弁える」ですが、この読み方はわかりますか? 先日テレビのクイズ番組を見ていたら、この読みを答えさせる問題が出ていましたが、意外に多くの方がわかっていないようでした。正解は「わきまえる」です。


さてこのブログは日本語に纏わるトピックは扱っていませんので本題に入りましょう。


最近校正をさせていただいた論文の中に以下のような文を見つけました。


“This drug caused less serious adverse reactions than the control drug.”


前後関係を確認したところ、この文の意図するところは明らかに「本薬が引き起こした重篤な副作用は対照薬に比べて少なかった」でしたが、この英文はそういう意味になっていません。


なぜだかわかりますか?


そうです、ここではlessではなくfewerを使わなければならないのです。lessとfewerがあたかも入れ替え可能なもののように考えている方がいらっしゃるかもしれませんが、その考えは今日を機に改めましょう。


文法的に言えば、lessは形容詞にも副詞にもなれますが、fewerは形容詞です。また、lessは形容詞として使う場合でも、通常は不可算名詞にしかつけません。つまり、less sugarと言うことはできても、less drugsとは言わないのです。


上記の英文において「少なかった」のは“reactions”すなわち可算名詞ですから、それに対応する形容詞はlessではなくfewerでなければならないのです。さらにlessには副詞の意味もあるため、less seriousと書いてしまうと、「重篤度が(比較的)低い」という意味の正しい英語になってしまいます。このため、文脈が一切ない状態で上記の文を読むと、「副作用の重篤度は本薬のほうが対照薬よりも低かった」としか読むことができません。


このように、lessとfewerの混同は、単なる文法的な問題だけでなく、意図しない情報を伝達することにもなりかねないので、注意深く使い分ける必要があります。


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