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“color figures大歓迎”のちょっとした落とし穴

オンラインでの出版が一般化した今日では、紙のみで刊行を続けているジャーナルは少数派となっています。白黒印刷とカラー印刷で大きくコストが異なる紙媒体と違って、インターネット上では色を自由に設定できることから、色付きのFigure(color figures)の投稿を制限したり個々のcolor figureに対し追加料金を徴収したりするジャーナルの数は、相対的に減ってきているかもしれません。今やそれどころか、color figuresの投稿を奨励している(“Color figures are welcome.”)ジャーナルもたくさんあります。とりわけオンラインのみのジャーナルは、カラーのほうが視覚的にも魅力的なので、color figuresを受け入れる傾向が強いです。投稿する側としても、特段の追加的費用を支払うことなくcolor figuresが発表できるならそれに越したことはないと思うでしょう。


しかし、ここにはちょっとした落とし穴があります。


color figuresの形態で投稿し、color figuresのままアクセプトされ公開されても、読み手にとってcolor figuresでないことがあるのです。それもしばしば。


あなたは、オンライン上で公開されている論文を印刷して読もうとするとき、カラー印刷しますか? それとも白黒印刷しますか? 答えは人によりけりでしょうが、専ら白黒印刷しかしない方も多いことでしょう。


だとすれば、発表する側の立場で考えると、color figuresを使うか否かにかかわらず、「白黒印刷された場合にも問題なく判読できる形式で作図すること」が非常に重要ということになります。つまり、2つ以上の要素を単に色分けのみで区別したりするのではなく、記号(丸、三角、四角)や線(実線、破線、点線)の形状に違いを持たせるなどの工夫が大事です。


color figuresの公開が簡単になったが故の新たな落とし穴とも言えますが、せっかくのデータが誤って解釈されなることのないよう注意したいものです。


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