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2-7-7-6理論

Tim Albert氏の著書“Winning the Publications Game”(CRC Press)に興味深い内容がありましたのでご紹介します。氏は、論文執筆における構成(structure)の重要性を確認するために、NEJM、Lancet、BMJといった有名誌に掲載された論文を調べ、IMRAD(Introduction、Methods、Results、Descussion)の各セクションがいくつの段落から成るかをカウントしたそうです。その結果、雑誌毎に多少の差はあるものの、概ね以下のような数が典型的な数字として得られました。


Introduction – 2段落

Methods – 7段落

Results – 7段落

Discussion – 6段落


数字を並べて書くと2-7-7-6ですね。この数字をどう感じるかは人それぞれかもしれませんが、一般に価値が高いとされる雑誌のデータをもとにしていますので、大いに参考にすべきと言えるでしょう。


ただ、この数字自体に対しては納得できるという方でも、いざ論文を書いてみると、これとはかけ離れたバランスの論文になってしまう方がいらっしゃるのではないでしょうか。実際、Topnotchで校正させていただく論文の中にも、頭でっかちの論文(Introductionがやたら長い)や、Discussionの冗長な論文(論旨とあまり関係のない話題に言及してしまっている等)が散見されます。では、バランスの悪い論文はどう改善すればよいでしょうか。Albert氏は同書の中で以下のような策を例として挙げています。


7-7-7-3の場合  Introductionの一部をDiscussionに移動

2-18-7-6の場合  Methodsの一部を付録に移動(Supplementary materialとするのがよいですね)

2-7-16-6の場合  2つの論文に分けてもよいかもしれない

2-7-7-3の場合  もっとコンサイスな論文(short communication等)に書き換えられるかもしれない


これらは具体的かつ非常に有益なアドバイスです。注意点として、Resultsが長すぎる場合でも、安易に2つの論文に分けるのは避けたほうがよいかもしれません。単一の研究から複数の論文を生み出すことは、”salami publication”や”salami slicing”などとみなされることがあるからです。TableやFigureを使うことによってResultsセクションを短縮できないか、よく検討してみる必要があります。

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