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述語動詞の出し惜しみ
英語では、主語と述語がなるべく近く(直後)にあるのが理想です。したがって、主語そのものが長かったり主語を修飾する関係詞節などが延々と続いたりすると、読んでいてイライラします。一方、日本語は述語を最後に置く言語ですので、なかなか述語が出てこない長い文でも気にせず読み進めることができます。
日本語を母語とする研究者の書いた論文では、以下のような文がよくみられます。
One woman in the placebo group, 2 men and 3 women in the 60 mg/day group, and 2 men and 5 women in the 120 mg/day group developed nausea.
述語動詞であるdevelopが登場するまで延々と主語が続くかたちになっていて、日本語話者にとっては違和感がないかもしれませんが、英語のネイティブにとっては心地の良い文ではありません。
このような場合、ひとつの解決策として、nauseaを主語にし、”Nausea was seen in one woman in…”などとする方法が考えられます。これだと確かに「述語動詞を待つイライラ」からは解放されます。しかし、英語には、「分かっている情報から書き始め、新情報を後ろに置く」という原則があるため、仮に論文の中でnauseaという単語が初めて登場するような場面であれば、いきなり”Nausea was…”で書き始めるのは文脈によってはやや唐突で不自然に感じられるかもしれません。
実は、上記の文は下記のように書き換えることもできます。
One woman in the placebo group developed nausea, as did 2 men and 3 women in the 60 mg/day group and 2 men and 5 women in the 120 mg/day group.
このように”as did”を使用することによって、「述語動詞の出し惜しみ」を避けることができ、読みやすくなります。もちろん”as did”のほかにも”as does”、“as was”、”as were”など用途に応じて使うことができます。頭でっかちの文になってしまったと感じたときは、この方法を試してみるとよいでしょう。