top of page
  • Writer's pictureTopnotch

「買収の標的になるくらいがいい」

東洋経済新報社の発行する週刊誌「東洋経済」の9月13日号で「クスリの裏側」という特集が組まれていました。生活習慣病に関する一般人向けの分かりやすい解説や新薬開発の最新事情、製薬業界の抱える問題点等、いろんな角度から取材した興味深い内容でした。


そこでタイトルのセリフなのですが、これは誰の発言だと思いますか。実はこれはアステラス製薬の社長である畑中好彦氏の発言なのです。今回の特集では、畑中氏のインタビュー記事が同氏の写真付きで掲載されているのですが、「ピカピカの新薬メーカーになると買収リスクが発生しませんか」との問いに対し、氏は以下のように答えています。


「むしろ買収の標的になるくらいの会社になりたいと思っている。最後は株主が判断するが、新しい形態のほうが社会的な価値が高いということなら、アステラスの名前がなくなっても構わない」


良いか悪いかはともかく非常にクールな発言ですし、現在国内の製薬会社で社長を務める方々の中で、同じことが言える人は多くないのではという気がします。アステラス製薬といえば、もともと藤沢薬品工業と山之内製薬が合併して誕生した企業であり、畑中氏はその当時前者にいた人物ですから、社名の変更や合併に対してもポジティブな考え方を持っているように感じられます。


Recent Posts

See All

文書には、一度完成したらそれっきりのものもあれば、何度も改訂される性質のものもあります(後者は英語でevolving documentといいます)。何度も改訂される文書の場合、例えば末尾やフッター等に「●年×月改訂」などと書いてあります。これを訳すのは簡単で、例えば日本語が「2019年5月改訂」となっていれば、 Revised in May 2019 とすればよいだけです。 ただ、こういった状況に

先日、新元号が「令和」となることが発表され話題になりましたが、職業柄、そのとき真っ先に思ったのは「アルファベット表記はどうなるのかな」ということでした。とはいえ、何ら迷うことなく"Reiwa"となるであろうことは想像できましたが、多くの日本人は英語の聞き取りや発音においてLとRの区別が得意ではないので、綴りの点で統一して使われるのであればよいのかなと思いました。 さて、最近みかけた綴りの間違いに、

医薬関係の英文ドキュメントに登場する"self-limited disease"ですが、果たして日本人読者は皆この意味を理解できているでしょうか。医師の先生方をはじめとする医療専門家はともかく、翻訳者がきちんと理解して訳しているかは疑問です。実際、このフレーズは通常、「自己限定性の疾患」「自己限定的疾患」などと訳されますが、おそらくこの日本語を見ただけでは疾患の具体的な特徴を説明することはできない

bottom of page