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語彙習得の意義を軽んじるべからず
先日、勝間和代氏の著書「最後の英語のやり直し!」(毎日新聞社)を読ませていただきました。これまで何度となく「英語を勉強しよう」と思いながら、挫折を繰り返してきた方々には読んで損のない本だと思います。
同書を読んでいると、勝間氏らしいなと思われる部分がいくつもあります。例えば、「発音」「文法」「語彙」のうち、費用(時間)対効果が高いのは何か、という視点から、「語彙習得はCPが高い」という結論を導くあたりなどはその典型でしょうか。
何をもってして「効果」と呼ぶかはともかく、語彙習得の重要性に関してはまったくそのとおりだと思います。しかし、残念ながら実際の教育現場や一部の参考書では、しばしば語彙習得の重要性が軽んじられているのではないかという気がします。それらでは、英語を「ながら聴き」しているだけで徐々に聴きとれるようになるかのように書かれてあったりしますが、それと並行して語彙を増やすことは不可欠です。結局のところ、どんなにゆっくり話されたとしても、「知らない単語は聴きとれない」のです。ただリズムや抑揚に慣れているだけです。(それも意味のあることですが。)
英文を多読していると、今まで見たこともない単語で今後も見ることはないのではと思うような単語に出くわすことは誰でもあります。そうした単語を覚えることの意義は、記憶力コンテストにでも出ない限りないかもしれません。しかし、勝間氏が指摘するとおり、日本人は最低限知っておくべきレベルの単語(reward等)すら知らない現状があります。もし、「英語が聴き取れない」というのであれば、聴きとる練習をしているか(聴く時間を設けているか)のみならず、知らない単語が多く含まれていないか、という視点も必要です。
厳しい言い方になりますが、勝間氏の表現を借りれば、
「語彙を増やさない学習」こそが、「やっても無駄なこと」の筆頭
ではないでしょうか。