top of page
  • Writer's pictureTopnotch

著者数が多すぎる症例報告の怪

論文あたりの著者数は年々増加傾向にあります。確かに多施設共同で行う臨床研究などでは、多くの研究者が著者としてクレジットされてしかるべき場合もあるでしょう。しかし、症例報告はどうでしょうか。著者が10名を超えていると、直感的に不自然に感じないでしょうか。Catheterization & Cardiovascular Interventionsという雑誌の投稿規程には、以下のような記載があります。


“If more than 3 authors are listed then each author's inclusion must be specifically justified. Case reports and reviews are commonly written by a junior author with a senior author's mentorship. Rarely, if ever, are more than 3 authors necessary. Participating in clinical care is not sufficient for authorship. Failure to adequately justify the inclusion of authors will be reason for REJECTION.”


つまり、症例報告は一般に1~2名の著者によって書かれるものであって、3人を超える必然性はあまりないということです。また、同誌では著者の数が3人を超える場合はその正当性を各々について明らかにするよう求めています。「もし十分な正当性が確認できなければ不受理とする」と書かれていますが、「不受理 (rejection)」が全て大文字で書かれていることからも、同誌がこの要件をいかに重要視しているかを読み取ることができます。


私たちトップノッチでは、お客様の論文の英文校正をさせていただくにあたり、このような点についても気付いた範囲で指摘させていただくように心がけています。

Recent Posts

See All

論文において図表の果たす役割は決して小さくありません。Table(表)は、例えば臨床研究における患者背景データを網羅的に示すうえで欠かすことができないものですし、Figure(図)も、時系列に沿った変化や全体に占める割合などを視覚的に分かりやすく見せるのに非常に役立ちます。 しかし、日々多くの論文を見ていると、稀に「図示するほどのものではない」と感じられるものに遭遇することがあります。典型的なもの

以前のブログでも取り上げましたが、多重出版という行為はジャーナルにとって由々しき問題のひとつです。複数のジャーナルに同じ内容の論文が掲載されることは、限られた紙面を無駄に使うだけでなく、当該分野で行われるメタアナリシスにも悪影響を与えるという話を以前しました。 もちろん、結果的に複数のジャーナルに掲載されないとしても、既にあるジャーナルに掲載もしくは投稿されている論文を他のジャーナルにも投稿するこ

以前のブログで多重出版について触れましたが、今回も関連する話題です。ジャーナル側としては、既に他誌で発表された研究論文や他誌に投稿中で今後公表されるかもしれない論文を受け付けないことを、明確に投稿規程でうたっています。また、多くのジャーナルは、投稿時に添えるカバーレターにおいて「他誌で発表されたこともなければ投稿中でもない」ことを宣言するように求めています。大抵はそこまでなのですが、「過去に不特定

bottom of page