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日本人に英語を学ぶということ

英語の論文を書くにあたり、参考となる書籍はたくさんあります。ネイティブによって書かれた既発表の論文を読むことで多くのことを学ぶことができますし、英米の研究者が著した参考書も非常に有益です。しかし、ネイティブでない日本人が英語を学習するにあたって、それらネイティブの著作物だけで十分かといえば、そうとも言い切れない部分があります。


日本人のベテラン研究者や英語教育者によって書かれた参考書を読むと、確かにネイティブの感覚からすると時代遅れの表現が含まれていることがあります(インターネットにより情報収集が容易になる以前のものは特にこの傾向があります)し、ネイティブの感覚では厳密に区別されないような概念でも無理やり分割して考えていたりすることがあります。しかし、日本人には、日本人だからこそ犯しやすい間違いを熟知しているという強みがあり、それを意識的に矯正する方法をよく心得ています。


ネイティブによって書かれた参考書で取り上げられている内容は、主として「ネイティブでも犯すことのある間違い」であり、「普通のネイティブなら誰でもわかるようなこと」には当然ですが言及しません。しかし、ネイティブでない日本人は、この「普通のネイティブなら誰でもわかるようなこと」すら分からないことがあります。


英語の論文を書くという経験をあまり積んでいない段階では、熟練の日本人研究者ないし教育者が書いたもの(ネイティブの監修者がついていればベスト)もしくは日本人の英語を熟知したネイティブが書いたものを参考書として利用するのがベストではないかと考えています。


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