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既知の事柄と未知の事柄
文法的には真っ当でも、文脈を与えられたときにややぎこちない表現になってしまうことがあります。例えば、ABC(仮名)という新薬がXYZ Pharma(仮名)というよく知られた製薬企業から発売された状況を想定してみてください。このトピックについて述べるにあたり、冒頭で
A new anticancer drug called ABC has been launched by XYZ Pharma.
と書くのは実はベストとはいえません。一見何の変哲もない文ですが、一体なぜでしょうか。
英語では、述部、簡単に言えば動詞の後に、新情報をもってくるのが普通とされています。ですから、
XYZ Pharma has launched a new anticancer drug called ABC.
という表現のほうがここではしっくりくるのです。ポイントは、XYZ Pharmaがよく知られた会社であることです。
ABCという薬剤もXYZ Pharmaも知られていないような状況であれば、一つめ文のままでもOKです。その場合、実際は“XYZ Pharma”で文を終わらせず、“…XYZ Pharma, a Japan-based company specializing in…”のように、企業についての説明を加えることが多いです。なぜなら、XYZ Pharmaが知られていない企業だからです。
今回の場合は、ABCが新しい情報でXYZ Pharmaは既知の情報という前提ですから、二つ目のような文にして、必要に応じて“…ABC, which is prescribed to…”などのようにABCに関する補足情報を加えるというのが一般的です。