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意味するところが日本語と微妙に異なる動詞
辞書で動詞を調べ、そこに書いてある訳語を確認したうえで文を書いても、結果的に意図した意味にならないことがあります。日本語と英語はそもそも全く違う言語ですから、はじめから1対1で完全一致しているものではないという意識が必要です。
以下の文を見てください。
The boy was drowned in a pond, but was luckily pulled out by his mother.
日本人の感覚からすると何の問題もないようにも見えますが、実はこの文にはおかしいところがあります。“drown”は一般に「溺れる」という意味の動詞と考えられていますが、厳密に言うと「溺れ死ぬ」であり、「泳げなくて死にそうになる」という意味ではないのです。では、これを踏まえて上記の文を修正してみましょう。書き手の意図としては、「溺れ死ぬところだったけれども助けられた」「もう少しで溺れ死ぬところだった」なので、
The boy was almost drowned in a pond, but was luckily pulled out by his mother.
とすることにより、矛盾のない英文になります。almostのかわりにnearlyを使ってもいいです。
最初の文の場合、後半に「助かった」ことが述べられていますので、これを読んだネイティブは「おかしい」「前後が矛盾している」と気付くことができますが、もし後半がなかったら、少年が溺れ死んだものとして話が終わってしまい、訂正されないまま間違って記憶されてしまう恐れがあります。“drown”は「溺れる」ではなく「溺れ死ぬ」と覚えておくとよいでしょう。
ちなみに同じような例として、“persuade”を挙げることができます。persuadeは「説得する」という意味の動詞としてよく知られていますが、厳密には「説得して、実際に~させる」という意味です。従って、例えば、
The doctor persuaded the patient to give up smoking, but in vain.
という文は不自然です。なぜなら、この文の意図するところを日本語にすると、「医師は、その患者に喫煙をやめるよう説得し、実際に患者はやめた。しかし、無駄だった」という前後の矛盾した内容になるからです。「説得したけど無駄だった」と言いたい場合、
The doctor tried to persuade the patient to give up smoking, but in vain.
と書くことにより、矛盾のない文にすることができます。