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前置詞の意図的な省略

文書には、一度完成したらそれっきりのものもあれば、何度も改訂される性質のものもあります(後者は英語でevolving documentといいます)。何度も改訂される文書の場合、例えば末尾やフッター等に「●年×月改訂」などと書いてあります。これを訳すのは簡単で、例えば日本語が「2019年5月改訂」となっていれば、


Revised in May 2019


とすればよいだけです。


ただ、こういった状況において、ついつい前置詞”in”を省略したい衝動に駆られてしまう自分がいます。省略した場合、


Revised May 2019


となります。


なぜこんなことを考えるのかとお思いの方もおられると思いますが、論文の読み書きを頻繁にされる方でしたら、Referencesのセクションで下記のようなフレーズを見たことがあると思います。


Accessed 29 May 2019


馴染みのない方のために説明しますと、論文執筆時の参考文献としてインターネット上の資料(雑誌や本ではなく)を引用する際に、当該資料が閲覧できるURL等の他に、アクセス確認した日も記載することが多い(ネット上の情報は常に変化しているので)のですが、その日付の記載法が多くの場合上記のようなかたちになっているのです。


個人的にはこのようなシンプルな表記が好みで、この美しさは日付表記をイギリス式からアメリカ式に変えただけで若干損なわれるような気さえします(主観ですが)。ちなみに上記の日付をあえてアメリカ式で書くと下記のようになります。


Accessed May 29, 2019


実際は、こと論文のReferencesに限っていえば、”Accessed 29 May 2019”のようなイギリス式が圧倒的に多いと思います。


話を戻すと、冒頭の「●年×月改訂」などの場合に「省略したい衝動に駆られてしまう」と書きましたが、実際に翻訳させていただく際に“Revised May 2019”などのように省略したことはほとんどないです。理由は簡単で、「前置詞in単なる入力漏れ」とお客様に認識されるリスクがあるからです。

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