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リジェクトに対する備え
時間をかけて書き上げた論文が投稿後あっさりとリジェクトされると、失望やある種の怒りの感情が芽生えてくることがあります。自らの論文の仕上がりに自信があればこそ、リジェクトされたときの落胆は大きいはずです。
しかし、各ジャーナルがアクセプトするのは当該ジャーナルに投稿される全論文のうちの20%程度とも言われており、確率的に言えば、投稿論文はリジェクトされることのほうが遥かに多いものです。
リジェクトされたときにもったいないなと思うのは、失望のあまりモチベーションが下がり、しばらくほったらかしになってしまう論文があることです。気持ちはわかるのですが、何もしないでいると所見の新規性も損なわれてしまいますし、科学の進歩にとっても損失となります。
是非お奨めしたいのが、1誌目に投稿する前の時点で、投稿予定の雑誌を3つほどリストアップしておく方法です。つまり、1誌目がリジェクトされてから2誌目を検討するのではなく、リジェクトされた場合の方針を事前に決めておくのです。「消極的な考え方だ」と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、こうすることで、リジェクトされた後にスムースに(無為な時間を費やすことなく)次回投稿の準備ができますし、リジェクトされたときの精神的苦痛も抑えられるのではないかと思います。いち早く論文を世に出そうとしているという意味では、むしろ「積極的な考え方」とも言えます。
実はこの「3誌」というのもちょっとしたポイントで、あまり多すぎてもよくないと思います。リジェクトされるのに慣れ過ぎて、機械的に(内容をほとんど変えずに)「投稿→リジェクト」を何度も繰り返すこともまた時間的ロスですし、リジェクト時に大抵提供される査読者コメントを読み、それをもとに論文を改善するという行為が省かれる恐れが出てきます。もし論文に決定的な欠点があり、それが理由でリジェクトされているとすれば、当該欠点を是正しない限り、何度投稿してもリジェクトされ続けることになる可能性が高いです。査読者コメントに真摯に耳を傾けることを大前提として、3誌程度を事前に挙げておくのがよいのではないかと思います。