top of page
  • Writer's pictureTopnotch

ラテン語由来のフレーズにまつわる“et cetera”

「~など」の意で用いられる“etc.”が“et cetera”の略であることはご存知の方も多いと思います。また、これがラテン語であり、英語の“and so forth”にあたることも、ある程度の方はご存知でしょう。では、以下のフレーズを見てください。


Symptoms – cough, headache, and fever, etc.


何か違和感を覚えないでしょうか。


前述の“and so forth”について、知識としてだけでなく感覚として理解できていれば、このフレーズがおかしいことに気付くはずです。つまり、“and”と“etc.”が同時に使われていることについてです。“etc.”を“and so forth”に置き換えてみれば、このことが実感としてわかります。


cough, headache, and fever, and so forth


“and”が重複しているのが一目瞭然ですね。“etc.”を用いる場合は、“and”を併用せず、


cough, headache, fever, etc.


と書くようにしましょう。


これに関連し、もう一つ同じような例をご紹介しましょう。


The patient was given an analgesic at 9 a.m. in the morning.

(患者は午前9時に鎮痛剤を投与された。)


上記の文はどうでしょうか。何かおかしいところはありませんか。


ここでのポイントは“a.m.”です。“etc.”が“et cetera”の略であるのと同じように、“a.m.”もあるラテン語の略なのです。答えはずばり、“ante meridiem”です。これは英語の“before noon”にあたる言葉です。では先ほどと同様に“a.m.”を“before noon”に置き換えてみましょう。


The patient was given an analgesic at 9 before noon in the morning.


9より後ろの部分が冗長だと思いませんか。“noonより前に”と“morningに”は同じではないから一緒に使ってもいいのではないか、と思われるかたがいらっしゃるかもしれませんが、多くの日本人が考える以上にこの2つは近似しているのです。なぜなら、英語では一般的に、「日の出から正午まで」をさす語として“morning”が使われているからです。例えば英語圏の人々にとって午前11時は紛れもなくmorningなのですが、日本人の中にはこれを「朝」と呼ぶには抵抗がある方もいるでしょう。


話を戻すと、上記のフレーズでは、“a.m.”と“in the morning”のどちらか一方を使えばよいということになります。

Recent Posts

See All

以前のブログにおいて、「Accessed 10 June 2019」のような、前置詞を省略した表記について書きましたが、今回はそれにまつわる内容になります。 日付の前に置く前置詞は一般にonであることはみなさんご存じかと思いますが、それを省略できる場合が意外に多いのです。具体的に言うと、”on that day”、”on the previous day”、”on the following da

論文の参考文献欄(References)で広く使用されている“et al.”ですが、これがラテン語由来の表現で、一般的な英語でいうところの“and others”にあたるということは既に多くの方がご存じではないかと思います。 「なぜ対応する英語表現があるのにわざわざラテン語を用いるのだろうか」 こんな疑問を持ったことはないでしょうか。 その答えになるかはわかりませんが、論文の参考文献を整理している

多くのジャーナルが論文の単語数に上限を設けていますが、これに従うのが難しいことがよくあります。毎回、簡潔な論文を書くのに四苦八苦される先生も多いことでしょう。なんとか単語数制限をクリアし投稿できたとしても、査読者から「Methodsの情報が足りない」「この既発表論文についても考察せよ」等の指摘をうけ、大幅な追記を余儀なくされることは珍しくありません。では、その際、追記によって当初の単語数制限を超え

bottom of page