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パーセンテージのまやかし
医学論文ではパーセンテージが頻繁に使われます。例えば、
The incidence of grade 3 or 4 adverse events was 18.75%.
あるいは、
Grade 3 or 4 adverse events were reported in 18.75% of patients.
などですね。
で、この表現自体に問題は全くないのですが、文脈によっては読み手にとって不十分と感じられる、もっと言えば馬鹿にしているように感じられる場合があります。言及している研究の対象患者数が1,000名を超えるような場合で上記のとおりでよいのですが、もし仮に患者の総数が16名だったらどうでしょうか。16名のうちの18.75%なので、グレード3又は4の有害事象がみられたのは3名だったことになります。この3という数字を論文中に明示せず、パーセンテージを強調しているとしたら、読む側は狐につままれたような気分になってしまうかもしれません。
十数名のような少数の患者群を対象とした研究であっても、パーセンテージを示すことは必ずしも悪いことではありません。しかし絶対数を漏らさず示すことが非常に重要です。英語では絶対数のことをabsolute numberといいます。
Grade 3 or 4 adverse events were reported in 3 patients (18.75%).
こう書けば絶対数とパーセンテージを両方示すことができます。
Grade 3 or 4 adverse events were reported in 3 out of 16 (18.75%) patients.
でもいいです。
専門家の中には「母数が20に満たないような場合は絶対数だけ書くべき」と言う人もいるほどですから注意を払う必要があります。
ちなみに、18.75というパーセンテージは、小数第二位まで記しているためか十分な数の母集団から割り出したかのように錯覚させてしまう点からもタチが悪いといえます。加えて、有害事象の発現率を小数第二位まで記すのは一般的ではありません。実際はケースバイケースで投稿先ジャーナルの慣例を考慮する必要がありますが、四捨五入して小数第一位または1の位までに留めるのが通例です。