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ゴーストライティングへの対処

ゴーストライターの問題は以前から指摘されていますが、現実的に、著者としてクレジットされている研究者が論文全体の執筆にどの程度関わっているかをジャーナル側が確認するのは困難です。


世の中に論文の執筆を提供するサービスが存在することは周知の事実であり、もしそうしたサービスを利用して書かれた論文であるならば、厳密な意味で100%、著者が執筆したとはいえません。もちろん、そうしたサービスを利用することが望ましくないということではなく、多くのジャーナルはメディカルライティング上のサポートを受けた場合はその旨を謝辞(Acknowledgments)に示すよう求めています。


とはいえ、ドラフト版の執筆をまるまる外部に委託するようなケースがもしあるとすれば、それはもはや“サポート”の範疇を超えているのではないかという指摘があっても仕方がありません。American College of Allergy, Asthma and Immunologyの公式雑誌であるAnnals of Allergy, Asthma & Immunologyでは、論文全体の90%以上が著者自身によって書かれたものでなければならないと規定しています。


‘While outside editorial assistance may be utilized, “ghost written” articles are not accepted for review by the Annals. By submitting a manuscript the authors certify that they have (collectively) personally written at least 90 percent of manuscript.’


前述のとおり、実際に90%以上を著者自身が執筆したかどうかをジャーナル側が確かめる手段はありませんが、ゴーストライターの問題に取り組む姿勢がうかがえます。

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