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アスリートの足を贈呈された患者?

患者が何らかの疾患を呈するというとき、“present with”という表現がよく使われます。症例報告の冒頭などでは頻繁に目にするフレーズですね。


さてこのpresentですが、なぜか“be presented with”のようにわざわざ受動態にして用いる方がいらっしゃいます。例えばですが、


The patient was presented with athletes’ foot.


のように書いてしまうと、読み手はギョッとしてしまうことでしょう。なぜなら、“be presented with”には「~を贈呈される」という正規の意味が存在するからです。つまりこの文を訳すと「患者はスポーツ選手の足を贈呈された」という何とも言えない意味になってしまうのです。ここで“athletes’ foot”を「スポーツ選手の足」と訳しましたが、単数形にアポストロフィーをつけるかたちで“athlete’s foot”とすれば、皮膚真菌症、いわゆる水虫の意になります。医学論文で用いられるのはもっぱらこちらでしょう。


総合すると、論文の症例報告で使われるとすれば、


The patient presented with athlete’s foot.(患者は水虫を呈していた)


が正しいということになります。

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