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かつての「プロパー」は“proper”ではなかった
若い方にはもしかしたら馴染みがないかもしれませんが、MRすなわち医薬情報担当者という職業は、20年ほど前まで「プロパー」と呼ばれていました。1993年に日本製薬工業協会が医療用医薬品プロモーションコードを作成した頃から「MR」と呼称するようになった経緯があります。
ところでこの「プロパー」ですが、語源は何かご存知でしょうか。語感からすると英語の“proper”を想起される方もいるかもしれませんが、実は「宣伝者」を意味する“propagandist”に由来します。この“propagandist”という語自体が人を表すものであるにもかかわらず、敢えてかたちを変えてやはり人を指す語を作っているところが面白いところです。当時、医師に対する過剰な接待攻勢が問題視されるようになり、“improper(不適切)な”活動を改める意味もあってコンプライアンス・プログラム・ガイドライン等が策定され、今日に至っています。
これから新人としてMRになられる方は、生まれたときにはもう「プロパー」という表現は一般的ではなかったはずですから、いずれは忘れ去られる呼び名なのでしょう。かつてサッカーの「全日本」と呼ばれていたものが今日では「日本代表」と呼ばれているように。